2026.06.06

転造ねじブランク径とは、ねじを転造加工する前の丸棒素材の径です。転造ねじは、材料を削って山を作るのではなく、ダイスで材料を塑性変形させてねじ山を成形します。そのため、完成後のねじ外径そのものではなく、山が盛り上がる量を見込んだ素材径を設定する必要があります。

このページでは、メートル並目ねじ・メートル細目ねじに加え、ユニファイねじUNC/UNF、ウィットねじWの転造ブランク径を参考表として整理しています。あわせて、タップ下穴径との違い、材質による補正、量産時に確認すべきポイントも現場目線で解説します。

最初に確認してほしいこと

本ページの寸法表は、転造加工時の初期検討に使うための参考寸法です。JIS規格そのものの転載ではなく、完成ねじの公差等級に入れるための加工前素材径の目安です。

実際の加工では、材質、硬さ、転造盤、ダイス状態、潤滑、めっき、ロット条件、ゲージ結果によって下径を補正します。特に鉄系材料とステンレス材では、同じ呼び径・ピッチでも山の立ち方や加工負荷が変わるため、現場では0.05mm前後の補正を行う場合があります。

転造ねじブランク径(転造下径)とは

転造ねじブランク径とは、おねじを転造する前の丸棒素材の径を指します。「転造下径」「ねじ転造素材径」と呼ばれることもあります。M10のねじを作る場合でも、最初から直径10mmの丸棒を転造するわけではありません。ねじ山として材料が盛り上がる分を見込んで、完成外径より細い素材径に調整します。

たとえば M10×1.5 の6g級を転造する場合、下表ではブランク径の目安を 8.90 - 8.97mm としています。この範囲を出発点として、実際には材質や機械条件、ゲージ結果を見ながら条件を決めます。

例:M10×1.5 / 6g級
完成外径:M10
転造前の参考ブランク径:8.90 - 8.97mm

メートル並目ねじの転造ブランク径表

単位:mm。4h・6g・8gはメートルおねじの公差等級です。旧JISの1級・2級・3級は、現場での呼称として相当表記を併記しています。

ねじの呼びピッチ4h級
旧JIS1級相当
6g級
旧JIS2級相当
8g級
旧JIS3級相当
M20.41.71 - 1.731.67 - 1.701.63 - 1.68
M2.30.42.01 - 2.031.97 - 2.001.93 - 1.98
M2.60.452.27 - 2.292.23 - 2.272.19 - 2.24
M30.52.64 - 2.662.60 - 2.632.55 - 2.61
M3.50.63.08 - 3.103.02 - 3.072.97 - 3.04
M40.73.51 - 3.543.45 - 3.503.40 - 3.47
M4.50.753.98 - 4.013.92 - 3.973.86 - 3.94
M50.84.44 - 4.474.38 - 4.434.33 - 4.40
M61.05.31 - 5.345.24 - 5.305.17 - 5.26
M71.06.31 - 6.346.24 - 6.306.17 - 6.26
M81.257.14 - 7.187.08 - 7.147.01 - 7.10
M91.258.14 - 8.188.08 - 8.138.00 - 8.10
M101.58.99 - 9.038.90 - 8.978.82 - 8.93
M111.59.98 - 10.029.90 - 9.979.82 - 9.93
M121.7510.82 - 10.8610.73 - 10.8010.64 - 10.76
M142.012.65 - 12.7012.56 - 12.6412.47 - 12.59
M162.014.65 - 14.7014.55 - 14.6314.46 - 14.59
M182.516.33 - 16.3816.23 - 16.3216.14 - 16.27
M202.518.33 - 18.3818.23 - 18.3118.13 - 18.27
M222.520.33 - 20.3820.22 - 20.3120.13 - 20.26
M24322.01 - 22.0721.88 - 21.9821.76 - 21.92
M27325.00 - 25.0624.87 - 24.9724.76 - 24.92

メートル細目ねじの転造ブランク径表

単位:mm。細目ねじは同じ呼び径でもピッチが複数あるため、呼び径だけでなくピッチも必ず確認してください。

ねじの呼びピッチ4h級
旧JIS1級相当
6g級
旧JIS2級相当
8g級
旧JIS3級相当
M40.53.63 - 3.663.59 - 3.633.54 - 3.61
M4.50.54.13 - 4.164.09 - 4.134.04 - 4.10
M50.54.63 - 4.664.59 - 4.634.54 - 4.60
M60.755.47 - 5.505.41 - 5.465.36 - 5.43
M70.756.47 - 6.506.41 - 6.466.35 - 6.43
M81.07.30 - 7.337.24 - 7.297.17 - 7.26
M91.08.30 - 8.338.24 - 8.298.17 - 8.26
M101.259.14 - 9.189.07 - 9.139.00 - 9.10
M101.09.30 - 9.339.23 - 9.299.17 - 9.26
M121.510.97 - 11.0110.89 - 10.9610.81 - 10.92
M121.2511.13 - 11.1711.06 - 11.1210.98 - 11.08
M141.512.97 - 13.0112.89 - 12.9612.81 - 12.92
M161.514.97 - 15.0114.89 - 14.9614.80 - 14.91
M182.016.65 - 16.7016.55 - 16.6316.46 - 16.59
M181.516.96 - 17.0116.89 - 16.9616.80 - 16.91
M202.018.65 - 18.7018.55 - 18.6318.46 - 18.58
M201.518.95 - 19.0018.88 - 18.9518.80 - 18.91
M221.520.95 - 21.0020.88 - 20.9520.80 - 20.91
M241.522.95 - 23.0022.87 - 22.9522.79 - 22.90
M261.524.95 - 25.0024.87 - 24.9524.79 - 24.90
M271.525.95 - 26.0025.87 - 25.9525.78 - 25.90

ユニファイねじ UNC / UNF の転造ブランク径表

ユニファイねじは、インチ系の60°ねじです。UNCはユニファイ並目、UNFはユニファイ細目です。ここでは、実務で使いやすい2A相当の参考ブランク径を掲載しています。

単位:mm。山数は1インチあたりのねじ山数です。インチ呼びであっても、下径は加工現場で扱いやすいようmm表記にしています。

UNC|ユニファイ並目ねじ

ねじの呼び山数
Threads / inch
2A相当
参考ブランク径
#1641.54 - 1.57
#2561.84 - 1.86
#3482.11 - 2.14
#4402.36 - 2.40
#5402.69 - 2.72
#6322.91 - 2.95
#8323.57 - 3.60
#10244.05 - 4.09
#12244.70 - 4.75
1/4205.45 - 5.50
5/16186.93 - 6.98
3/8168.40 - 8.45
7/16149.83 - 9.89
1/21311.32 - 11.39
9/161212.80 - 12.87
5/81114.26 - 14.33
3/41017.27 - 17.34
7/8920.26 - 20.34
1823.20 - 23.28
1-1/8726.07 - 26.16
1-1/4729.24 - 29.33
1-3/8632.02 - 32.12
1-1/2635.20 - 35.27
1-3/4541.00 - 41.07
24-1/246.98 - 47.05

UNF|ユニファイ細目ねじ

ねじの呼び山数
Threads / inch
2A相当
参考ブランク径
#2641.87 - 1.90
#3562.16 - 2.19
#4482.43 - 2.46
#5442.73 - 2.76
#6403.02 - 3.05
#8363.63 - 3.66
#10324.22 - 4.26
#12284.80 - 4.84
1/4285.68 - 5.72
5/16247.16 - 7.20
3/8248.74 - 8.79
7/162010.18 - 10.23
1/22011.76 - 11.82
9/161813.25 - 13.31
5/81814.83 - 14.89
3/41617.89 - 17.95
7/81420.91 - 20.98
11223.87 - 23.95
1-1/81227.05 - 27.12
1-1/41230.21 - 30.29
1-3/81233.38 - 33.46
1-1/21236.55 - 36.63

ウィットねじ W の転造ブランク径表

ウィットねじは、55°のねじ山を持つインチ系ねじです。ユニファイねじUNC/UNFとは、ねじ山角度や規格体系が異なります。国内の古い設備・治具・建築系部材などでは、現在でもWねじの確認が必要になることがあります。

単位:mm。2級・3級・4級は完成ねじの寸法精度を示す等級です。数値が大きいほど、一般に許容範囲は広くなります。

ねじの呼び山数2級
参考ブランク径
3級
参考ブランク径
4級
参考ブランク径
W 3/16244.05 - 4.084.02 - 4.063.97 - 4.04
W 1/4205.46 - 5.515.42 - 5.495.38 - 5.47
W 5/16186.95 - 7.016.91 - 6.996.87 - 6.97
W 3/8168.41 - 8.488.37 - 8.468.33 - 8.44
W 7/16149.85 - 9.929.81 - 9.909.76 - 9.87
W 1/21211.25 - 11.3111.19 - 11.2911.15 - 11.23
W 9/161212.82 - 12.8912.77 - 12.8712.73 - 12.85
W 5/81114.29 - 14.3614.24 - 14.3414.18 - 14.31
W 3/41017.30 - 17.3817.25 - 17.3617.19 - 17.33
W 7/8920.29 - 20.3820.23 - 20.3520.18 - 20.32
W 1823.25 - 23.3423.19 - 23.3123.13 - 23.28
W 1-1/8726.12 - 26.2126.05 - 26.1825.99 - 26.15
W 1-1/4729.29 - 29.3829.22 - 29.3529.16 - 29.32
W 1-3/8632.06 - 32.1731.99 - 32.1331.92 - 32.10
W 1-1/2635.23 - 35.3435.16 - 35.3035.09 - 35.27

鉄とステンレスで下径を変える理由

転造下径表には、一般に「鉄ならこの径」「ステンレスならこの径」という材質別の補正までは書かれていません。これは、表が完成ねじの公差等級から見た標準的な目安であり、実際の加工条件まで固定するものではないためです。

しかし、量産現場では材質による補正が必要になることがあります。鉄系材料とSUS304などのステンレス材では、硬さ、延性、加工硬化、ダイスへの食い込み方、ねじ山の立ち方が異なります。同じ表値から始めても、ゲージの入り方や外径、有効径、ダイス負荷に差が出ることがあります。

現場での考え方

永山のような量産加工の現場では、表の数値をそのまま絶対値として使うのではなく、まず標準値として見ます。そのうえで、鉄系材料とステンレス材、ロット、ダイス状態、機械のクセを見ながら、必要に応じて0.01mm単位で下径を調整します。条件によっては、鉄とステンレスで0.05mm前後の差をつけることもあります。

ただし、「ステンレスだから必ず何mm大きくする/小さくする」と一律には決められません。最終判断は、試作、ねじゲージ、外径測定、相手部品とのかみ合い、量産時の安定性を見て決めます。

タップ下穴径との違い

転造ねじブランク径

おねじを転造加工する前の丸棒素材径です。材料を塑性変形させ、ねじ山を盛り上げて成形します。

タップ下穴径

めねじをタップ加工する前にあける穴径です。穴の内側にねじ山を作るための下穴寸法です。

どちらも「ねじ加工前の寸法」ですが、対象がまったく違います。転造ブランク径はおねじ用の丸棒径、タップ下穴径はめねじ用の穴径です。「ねじ下径」という言葉だけでは混同しやすいため、このページでは転造前の素材径を「転造下径」と表記しています。

転造下径を見るときの注意点

  • 表の数値は、量産条件を決めるための出発点として扱う。
  • 完成後のねじ外径、有効径、通り・止まりゲージを必ず確認する。
  • めっき後寸法が問題になる場合は、表面処理後の寸法変化も見込む。
  • 鉄、ステンレス、快削鋼、S45Cなど、材質ごとに山の立ち方を確認する。
  • ダイス摩耗や転造盤の状態によって、同じ下径でも仕上がりが変わる。

よくある質問

ブランク径はJIS規格で決まっていますか?

ブランク径そのものがJIS規格値として固定されているわけではありません。JISやISOで中心になるのは、完成したねじの山形、公差方式、許容限界寸法です。ブランク径は、完成ねじを所定の公差に入れるための加工前素材径の参考値として扱います。

4h・6g・8gと旧JIS1級・2級・3級は同じですか?

完全に同一と断定するより、現場上の対応関係として「旧JIS級相当」と見るのが安全です。現在は4h、6g、8gなどの公差域クラスで確認する方が自然です。

3級はナットとの嵌め合いのことですか?

3級はナットそのものを意味する言葉ではなく、完成ねじの寸法精度を示す等級です。ただし、等級はおねじ・めねじの嵌め合いに影響します。一般に数値が大きい等級ほど許容範囲は広くなり、嵌め合いはラフになります。

海外図面でもブランク径の考え方は通じますか?

考え方は通じます。英語では thread rolling blank diameter、thread rolling blank size、blank diameter before thread rolling などと表現されます。ただし、インチ系ねじではUNC、UNF、BSW/Wなど規格体系が分かれるため、呼び、山数、ねじ山角度、等級を確認する必要があります。

転造ねじ・スタッドボルトの加工相談

株式会社永山では、スタッドボルト、両ねじ、片ねじシャフトなどの外ねじ加工について、図面・サンプルをもとに加工可否を確認しています。転造ねじ加工だけでなく、面取り、丸先、セギリ、すり割りなどの端部加工を含めた量産相談にも対応しています。

  • 転造ねじ、スタッドボルト、両ねじ、片ねじシャフトの加工
  • SS400、SUS304、S45C、SGD材などの量産部品
  • 面取り、丸先、セギリ、すり割りなどの端部加工
  • 数百本から数千本・数万本規模の量産相談

「このねじ径は転造で対応できるか」「鉄とステンレスで下径をどう変えるべきか」「切削と転造のどちらがよいか」といった段階からご相談いただけます。

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